ADHDの方に向いている仕事探しをサポート!強みを活かせる仕事の特徴や種類がわかる
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「真面目に働いているのに評価されない」
「集中したいのに、気が散ってしまう」
「周囲と同じように頑張っているはずなのに、なぜか自分だけうまくいかない」
そんな違和感を抱えながら働いている方の中には、ADHDの特性が影響しているケースも少なくありません。
本コラムでは「ADHDの方に向いている仕事とは何か?」をテーマに、そのヒントを探っていきます。
ただし、最初にお伝えしたいのは「ADHDだからこの仕事が向いている」と断言できる職種があるわけではないということです。
ADHDの特性やその現れ方は一人ひとり異なります。
だからこそ、他の人に合う仕事が、自分にも合うとは限りません。
自分の特性を正しく理解し、それに合った働き方や環境を選ぶことが、無理なく続けられる仕事と出会う第一歩になります。
今回はまず、ADHDとはどのような特性を持つのかを整理しながら、強みとして活かしやすい仕事の特徴や種類について、わかりやすく解説していきます!
ADHD(注意欠陥多動性障害)とは
ADHD(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder:注意欠陥・多動性障害)は、発達障害のひとつとされており、「集中が続かない」「じっとしていられない」「思ったことをすぐ口に出してしまう」といった行動が現れやすい特徴があります。
自閉スペクトラム症(ASD)や知的障害と混同されることもありますが、それぞれ異なる特性を持つ別の障害です。
以下に、ADHDとASDの主な違いを簡単にまとめました。
| ADHD | 自閉スペクトラム症(ASD) | |
|---|---|---|
| 主な特性 | 不注意、多動性、衝動性 | コミュニケーションの苦手さ、強いこだわり、感覚過敏さ |
| 対人関係の傾向 | 衝動的な発言や行動でトラブルになることがある | 空気を読むのが苦手、人との距離感が独特 |
| 得意・不得意 | 興味のあることには強い集中力を発揮(過集中) | 特定の分野に強い関心と集中力を 持つ反面、柔軟な対応はやや苦手 |
ADHDには、「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの主な特性があり、人によってどの特性が強く出るかには個人差があります。
次に、それぞれの特性が具体的にどのようなものかを見ていきましょう。
不注意
集中力が続かず、細かいところを見落としやすい特性です。
何かに気を取られて注意がそれやすく、複数のことを同時にこなすのが苦手な傾向があります。
・書類の入力ミスや確認漏れなどのケアレスミスが多い
・電話を受けたものの、相手の名前や要件をメモし忘れる
・約束の日時を勘違いしたり、スケジュールに記入し忘れてしまう
多動性
じっとしているのが苦手で、無意識に体が動いてしまう特性です。
静かな場面でも落ち着いて過ごすことが難しく、常に「動いていたい」という感覚が強く現れることがあります。
・会議中や商談中に貧乏ゆすりやペン回しが止まらない
・デスクワーク中に頻繁に席を立ってしまう
・長時間座っていることが苦痛で、つい立ち歩きたくなる
衝動性
思いついたことをすぐに口にしたり、計画よりも目の前の出来事に反応して行動してしまう特性です。状況を深く考える前に反射的に動く傾向があります。
・あらかじめ決めた段取りを飛ばして独断で進めてしまう
・同僚との会話中に興奮して話を遮ったり、感情的になることがある
・その場の気分で予定を変えてしまい、あとで後悔する
大人のADHD診断数が増加中
近年、「大人になってからADHDの診断を受けた」という方が増えています。
これは社会全体で発達障害に対する理解が進み、精神科・心療内科での相談や診断の機会が広がったことが背景にあります。
子どもの頃は「少し落ち着きがない」「忘れっぽい」と見過ごされていた特性が、社会に出てから仕事や人間関係での困難として現れ、そこで初めてADHDの傾向に気づくというケースも少なくありません。
しかし、診断を受けたからといって「向いている仕事がない」「働けない」ということでは決してありません。
むしろ、自分の特性を理解し、その特徴を活かすことで、他の人にはない強みとして力を発揮できる場面がたくさんあります。
ここからは、ADHDの方が持つ特性の中でも、仕事の場面で「強み」として活かしやすいポイントを見ていきましょう!
ADHDの方の強みとは
ADHDという言葉からは、「不注意」「落ち着きがない」といった“苦手”のイメージが先行しがちです。
しかし、その特性の裏にはポジティブな側面が多く存在します。
ここでは、ADHDの方が持つ代表的な強みを5つご紹介します。
どれも、見方を変えれば職場で大きな価値を生む力になり得るものです。
高い発想力
ADHDの方は、型にはまらずに物事を捉える柔軟な思考を持っていることが多く、次々とアイデアを生み出す力に長けています。
他の人が見落としがちな視点に気づき、独自の切り口で考えられることが大きな特長です。
好きなことへの強い探求心
一度興味を持つと、その分野に深くのめり込み、集中力を切らさずに追求し続けることができます。
自ら学び、調べ、考える姿勢は、自分の関心と仕事が重なる場面で強い武器になります。
エネルギッシュな行動力
考えるより先に体が動くタイプの方も多く、思い立ったらすぐに行動に移せるフットワークの軽さが特長です。
スピード感を持って物事を進める力は、変化の多い場面で特に活躍します。
相手に寄り添う共感力
人の感情や空気の変化に敏感で、相手の立場に立って考える力を持っている方も少なくありません。
自身の経験と重ねながら、誰かの気持ちに寄り添う姿勢は、信頼関係を築くうえでの大きな強みになります。
困難を恐れないチャレンジ精神
失敗を恐れず、まずはやってみようという行動力があるのもADHDの方の魅力です。
新しい環境や未知の課題にも柔軟に向き合い、臆することなく挑戦できる姿勢が、思わぬ突破口を生むこともあります。
ADHDの方に向いている仕事の特徴
ADHDの特性を理解したうえで重要なのは、「どんな仕事でその強みを活かせるか」を知ることです。
職種によっては、特性が短所ではなく、大きな武器になります。
ここでは、ADHDの方が本来の力を発揮しやすい仕事の特徴を5つの視点からご紹介します。
創造性を発揮できる仕事
柔軟な発想やひらめきが活かせる仕事は、ADHDの特性が強みになる場面のひとつです。 枠にとらわれず、自分のアイデアを形にできる環境では、生き生きと働きやすくなります。
集中力を活かせる仕事(過集中)
特定の分野に強い関心を持つと、驚くほどの集中力を発揮する「過集中」。
この特性は、深く掘り下げる力が求められる仕事で大きな強みになります。
ただし、興味のない作業では集中が続かないため「自分にとって没頭できるテーマや分野かどうか」を基準に仕事を選ぶことが重要です。
行動力が求められる仕事
思い立ったらすぐに動ける行動力やスピード感は、現場で力を発揮しやすい特性です。
考えるより先に行動するスタイルが求められる環境で、自分の持ち味を活かせます。
人の気持ちに寄り添う仕事
人の感情を察知する力や、相手の立場を考える共感力も、ADHDの方が持ちやすい特性のひとつです。
人と接する仕事では、この能力が大きな価値になります。
変化や刺激がある仕事
ADHDの方は、単調なルーティンワークを苦手とする傾向があります。
毎日同じ作業を繰り返すよりも、常に新しい課題や変化がある環境の方が、集中力や意欲を保ちやすくなることがあります。
飽きやすさを逆に活かし、刺激の多い場面で柔軟な対応力や瞬発力を発揮できるのが特長です。
ADHDの方に向いている仕事の種類
ADHDの特性は、その方の強みにも弱みにもなり得ます。
しかし、その特性を活かせる仕事や環境に出会うことができれば、その才能はきっと輝きを放つでしょう。
ここでは、ADHDの方が持つ可能性を発揮しやすい仕事を、具体的な職種とともにご紹介します。
あなたにとって「無理せず続けられる仕事」との出会いのヒントになるかもしれません。
Webデザイナー
Webサイトやアプリのレイアウト・配色・ビジュアルデザインを担当し、使用者の視覚体験を設計します。
ユーザーの操作性を考えながら、魅力的な見た目に仕上げる創作活動が主です。
自由な発想とクリエイティブな表現が求められるため、ひらめき力や柔軟な視点が活きます。
また、自分の興味を持って取り組めるテーマに没頭しやすく、創作の中で「過集中」状態になることも多いです。
Webライター
Web上のコラムや記事、ブログコンテンツなどを執筆するお仕事です。
読者の関心を引く文章を構成し、SEOやリズム・語調にも配慮しながら執筆していきます。
興味のあるテーマに強く集中できる「過集中」が、リサーチや執筆において大きな武器になります。
関連性のない流れで文章が出てくる柔軟性は、オリジナリティある表現へつながることが多いです。
動画編集者
撮影された映像素材をつなぎ合わせ、構成や展開、音声・BGMとの調整を行い、完成度の高い動画を制作します。
視覚と音のバランスを整えるスキルが求められます。
映像作品には自由な発想と演出意図が求められるため、創造力や新しいアイデアを形にしやすい職種です。
映像に没入する感覚もあり、動画の世界に没頭する過集中の力も活きます。
ITエンジニア
プログラミング言語を使ってソフトウェアやアプリ、システムを開発し、設計・テスト・保守まで一連の工程を担当します。
複雑な論理構造や集中を要する作業に没頭できる過集中力が、バグ修正や設計の深い思考に役立ちます。
また、新しい技術を学び続ける探求心や、学習への没頭も強みとなります。
データ入力業務
書類やデータをPC上で文字入力し、表計算ソフトや専用システムに正確に登録・管理します。
ルーチン業務でも、自分の興味のあるデータやテーマに関連していれば高い集中力を発揮でき、ミスを防ぎやすくなります。
リズムよく淡々と進めれば、専念しやすい環境といえます。
研究者
学術的なテーマや現象を対象に、調査・実験・分析を行い、新たな知見を世界に発信します。
論文執筆や学会発表も含まれます。
興味関心の深いテーマに長時間没頭できる過集中と探究心は、研究の根幹です。
未知への好奇心や、新しい発見への情熱が研究という場で大きく開花します。
図書館司書
資料の整理・貸出・返却管理、利用者への案内・相談対応など、多岐にわたる業務を通じて、知的空間を支える役割を担います。
静かで整った環境が好きな方にとっては集中しやすく、丁寧な作業に没頭できます。
また、来館者とのコミュニケーションを通じて、共感力を活かせる場面も多くあります。
商品やイベントの企画職
新商品やイベントの企画立案、プロモーション戦略の検討、関係部署や外部と連携しながら実施計画を進めます。
企画段階では創造力や発想力が重宝され、変化する要素を楽しめる場面も多くあります。
実行に至るまでの一連の流れを自ら動かす行動力も発揮しやすい職種です。
営業職
顧客への提案・訪問・交渉、契約に向けた関係構築、ニーズのヒアリングを行い、サービスや商品を販売します。
瞬発的な行動力と対人共感力、そして新しい挑戦を恐れない姿勢が、顧客対応の現場で活きます。
柔軟な対応と会話のテンポも武器になります。
介護職
高齢者や障がいを抱える方の日常生活や身体的ケアのサポートを行い、心身の安全と生活の質を支えます。
相手に寄り添う共感力や柔軟性が直に活かされる仕事です。
現場では状況急変にも迅速かつ柔軟に対応する行動力が求められ、ADHDの特性がプラスに働きます。
学童保育
放課後の子どもたちの生活を見守り、遊びや学習のサポート、安心できる環境作りを担当します。
子どもの自由な発想やエネルギーに共感し、一緒に創造性を発揮しながら関わる場面が多いです。
また、変化や臨機応変さが求められる現場で、行動力や柔軟な対応力が活かせます。
ADHDの方が働きやすい職場環境
業務内容だけでなく「どのような環境で働くか」も、ADHDの方にとっては非常に重要なポイントです。
特性に合った職場環境であれば、集中力を保ちやすく、安心して働き続けることができます。
ここでは、ADHDの方が比較的働きやすいとされる職場の特徴をいくつかご紹介します。
柔軟な働き方ができる
時間や場所にとらわれず、自分のリズムで働ける環境は、ADHDの特性と相性が良い傾向があります。
たとえば、フレックスタイム制度やリモートワーク、裁量労働制などを導入している職場では、集中しやすいタイミングや場所を自分で選べるため、ストレスを軽減できます。
助けを求めやすい
困ったときやミスをしたときに、気軽に相談できる雰囲気がある職場は、安心して働きやすくなります。
上司や同僚とのコミュニケーションが活発で、チームで支え合う文化がある職場では、孤立感を感じにくく、仕事上の不安も減らすことができます。
落ち着いて作業できる
刺激の多い環境では注意が散りやすくなり、集中力が続かなくなることがあります。
そのため、静かで落ち着いた作業スペースや、一定のルールが守られた空間があると安心です。
また、定期的にリフレッシュできるよう、個別の休憩スペースや静かな休息場所が設けられている職場であれば、過集中や疲労を防ぐ効果も期待できます。
マニュアルやルールがある程度定まっている
仕事の進め方が曖昧だと、何をどう進めればよいかがわからず混乱しやすくなります。
そのため、一定の業務フローやマニュアルが整備されている職場は、次に何をすれば良いかが明確で、見通しを持って行動しやすくなります。
細かな指示を出してくれる上司や、段階を踏んだ説明をしてくれる職場も、ADHDの方にとって働きやすい環境と言えます。
まとめ
最初にもお伝えした通り、「ADHDだからこの仕事が向いている」と一括りに言うことはできません。
しかし、自分の特性を理解し、それに合った仕事や環境を選ぶことで、無理なく安定して働くことは十分に可能です。
ADHDの方は、自分の好きな分野や得意な領域に取り組むとき、高い集中力を発揮しやすく、ミスも減り、成果につながりやすくなる傾向があります。
だからこそ、どんな仕事に興味があるのか、どのような場面で自分らしさを発揮できるのかを振り返ることが、仕事選びの重要なヒントになります。
「働くこと」に不安を感じている方も、自分の特性と向き合いながら、少しずつ選択肢を広げていくことで、心地よく働ける場所にきっと出会えるはずです。
あなたの“自分らしく働く”を見つける第一歩として、ぜひ『バイトな女子。』をお役立てください!