バイト敬語に気を付けよう!正しい敬語の使い方とよくある間違いまとめ
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バイト先では、お客様への対応や職場での会話に敬語を使うことがよくありますよね。
しかし、アルバイトの現場では誤った敬語が広まってしまうことも少なくありません。
そして、知らずに使っている敬語が正しいのか、不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
『バイト敬語』と呼ばれる不自然な表現は、相手に違和感を与えてしまうため注意したいところです。
この記事では、バイトでよく使われる敬語の基本や、間違いやすいフレーズの正しい言い換えをご紹介します。
業種別の接客例も紹介するので、正しい敬語を学び、より丁寧なコミュニケーションが取れるようにしていきましょう!
そもそも「バイト敬語」ってなに?
『バイト敬語』とは、アルバイト店員が接客時に使う、独特な敬語のことです。
ファミリーレストランやコンビニなどの飲食業・サービス業で広まったこの敬語は『ファミコン言葉』と呼ばれることもあります。
これらは敬語を使い慣れていない若い世代が相手に失礼にならないよう意識するあまり、過剰に丁寧な表現を使ってしまったことで定着したと考えられています。
バイト敬語は1990年代に広まり、ファミレスやコンビニの急成長とともに社会に浸透しました。
ファミレスやコンビニはアルバイト店員が多く、接客マニュアルが十分に整備されていないお店やしっかりした研修が行われないお店などで正しい敬語を学べないままバイト敬語が広まったと言われています。
文化庁の調査によると「1000円からお預かりします」の「から」や「お弁当の方は温めますか?」の「の方」などの言い回しを気にする人の割合は年々増加しているのだとか。
日本語の専門家の中には「アルバイトの立場を考えれば必ずしも間違いではない」とする意見もありますが、世間一般では違和感を覚える人が増えているのが現状です。
【業種別】正しい敬語を使った接客例
接客業では、敬語の使い方次第でお客様への印象が大きく変わります。
間違った敬語を使うと、不自然な響きになったり失礼に思われたりすることも。
ここでは、業種ごとにわけて正しい敬語の使い方をご紹介します♪
飲食業
飲食店の接客では、注文を受ける際や料理を運ぶ際に正しい敬語を使うことが大切です。
・「少々お待ちくださいませ。」
・「お水をお持ちいたします。」
・「ご注文の品をお持ちいたしました。」
・「こちらパスタになります。」 → 「こちらがパスタでございます。」
・「おタバコの方はお吸いになりますか?」 → 「おタバコはお吸いになりますか?」
・「以上でよろしかったでしょうか?」 → 「以上でよろしいでしょうか?」
「〜になります」や「〜の方」といった表現はバイト敬語の典型です。
料理が変化したわけではないため「〜でございます」と言い換えましょう◎
また「よろしかったでしょうか?」は過去形なので「よろしいでしょうか?」が適切です◎
販売業(サービス業)
アパレルやスーパーなどの販売業では、商品をおすすめしたりレジ対応をしたりする際に丁寧な言葉遣いが求められます。
・「こちらの商品でお間違いないでしょうか?」
・「お気をつけてお帰りください。」
・「在庫は棚にあるだけです。」 → 「申し訳ございません。ただいま在庫を切らしております。」
・「お釣りが1500円とレシートになります。」 → 「1500円のお返しとレシートでございます。」
・「どうかいたしましたか?」 → 「どうかなさいましたか?」
在庫切れを伝える際は「申し訳ございません」と謝罪を添えましょう。
また「お釣り〜になります」という言い方は不自然で「お返しです」とするのが丁寧です。
そして、困っているお客様に声をかける際は「どうかいたしましたか?」よりも「どうかなさいましたか?」が適切です◎
オフィスワーク
コールセンターや受付業務では、電話対応やお客様への案内に正しい敬語の知識が役立ちます。
・「○○様でいらっしゃいますね。」
・「確認させていただきますので、少々お待ちください。」
・「お電話ありがとうございます。○○会社の△△です。」
・「すみません、お時間よろしかったでしょうか?」 → 「ただいま、お時間よろしいでしょうか?」
・「○○さんはお休みをいただいております。」 → 「○○は休みを取っております。」
・「どちら様ですか?」 → 「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「よろしかったでしょうか?」は過去形になってしまうため、今の状況を尋ねるなら「よろしいでしょうか?」とするのが正しい言い方です◎
また「お休みをいただいております」は相手から休みをもらうわけではないため「休みを取っております」としましょう。
よく間違える敬語のフレーズ10選
間違った敬語が広まることで、知らず知らずのうちに誤った表現を使ってしまうこともあるでしょう。
ここからは、間違えやすい敬語と正しい使い方を解説します。
接客のアルバイトでよく使われるフレーズばかりなので、覚えておくと安心です◎
「ご苦労さまです」→「お疲れさまです」
同じ職場の同僚や上司に対して、仕事が終わった後や少しの休憩時に使う挨拶
職場での労いの言葉は「お疲れさまです」が適しています。
「ご苦労さまです」は目上の人から目下の人へ使う言葉で、部下や後輩に対してなら問題ありませんが、上司や先輩に使うのは失礼です。
また、バイトの場合は後輩にも「ご苦労さま」ではなく「お疲れさま」を使うのが一般的です。
「了解しました」→「かしこまりました」
顧客や上司からの指示を受けたときに、その内容を理解したことを伝える表現
上司やお客様からの指示を理解したことを伝える場合は「かしこまりました」を使うのが適切です。
「了解しました」はカジュアルな表現のため、目上の人に使うと不自然な印象を与えることがあります。
また、ビジネスの場では「承知いたしました」もよく使われますが、状況によって適切なフレーズを選ぶと良いでしょう。
「かしこまりました」は接客業や営業職で好まれる表現なので、習慣として身につけておくと便利です◎
「すいません」→「申し訳ございません」
何か不備や誤りがあったときに謝罪する際に使う表現
ビジネスの場で謝罪する際は「申し訳ございません」を使うのが望ましいです。
「すいません」や「すみません」は日常会話なら問題ありませんが、仕事の場ではカジュアルすぎるため注意しましょう。
また、謝罪の度合いによって「大変申し訳ございません」や「誠に申し訳ございません」といった表現を使い分けると、より誠実な対応が可能です。
相手に迷惑をかけた場合は謝罪の言葉だけでなく「ご迷惑をおかけしました」と付け加えることで、さらに丁寧な印象を与えられますよ◎
「〜でよろしかったですか?」→「〜でよろしいでしょうか?」
相手に確認や了承を得るために使う表現
相手に確認や了承を得る際「〜でよろしかったですか?」と過去形で尋ねてしまうことがありますが、これは不自然な表現です。
確認したいことが現在の状況である場合「〜でよろしいでしょうか?」と現在形にするのが正しい言い方です◎
特にビジネスシーンでは自然な言葉遣いが好印象につながるため、適切な敬語を意識しましょう。
「なるほどですね」→「おっしゃる通りです」
相手の意見に全面的に賛成・共感していることを丁寧に伝える表現
相手の意見に共感したり納得したりしたときに「なるほどですね」と言いがちですが、これは不自然な敬語です。
副詞や感嘆詞にあたる「なるほど」は本来単体で使われる言葉であり「ですね」を付けると不自然な響きになります。
相手の考えに賛同するときは「おっしゃる通りです」と言うのが正しい表現です。
また「そのとおりだと思います」や「勉強になります」と言い換えることで、より丁寧な印象を与えることができます◎
「○○になります」→「○○でございます」
自分の名前や物事を説明するときに使う丁寧な表現
「○○になります」という言い方はバイト敬語の代表格で、これは誤った敬語表現です。
「なる」は物事が変化する際に使われる言葉なので、メニューや商品を紹介する場面には適しません。
お釣りを渡すときや料理をテーブルに置く際は「○○円のお返しでございます」「こちら○○でございます」などの正しい表現を使いましょう◎
「どうしますか?」→「いかがなさいますか?」
相手の意向を尋ねる際に使用する表現
接客時にお客様の意向を尋ねる際に「どうしますか?」とストレートに聞くのではなく「いかがなさいますか?」とするとより丁寧な印象になります◎
注文や商品・サービスの希望を確認する場面で使われることが多く「いかがされますか?」も類似の丁寧な表現です。
特に接客業の場合、丁寧な言葉遣いが好印象につながるため、意識して使いましょう。
「どちら様ですか?」→「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
相手にお願いをする際に使う、非常に丁寧な表現
電話対応や接客時に相手の名前を尋ねる際「どちら様ですか?」と聞くことがありますが、この表現はやや直接的で、場合によっては失礼にあたります。
「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」といったより丁寧な言い方を使うことで、相手への配慮を表現できます◎
ビジネスシーンでは「失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」という表現も使われますが、この場合も「恐れ入りますが」と添えた方がより丁寧です。
「そうです」→「左様でございます」
相手の言ったことに対して「その通りです」や「はい」といった意味で使う表現
相手の話に同意する際に「そうです」とそのまま答えるのではなく「左様でございます」とすると、より丁寧な敬語表現になります。
客業やビジネスの場面では、相手の言葉に対して敬意を示す「左様でございます」を使うことで、柔らかく上品な印象を与えられます◎
また、少しカジュアルな場面では「おっしゃる通りです」を使うといった、状況に応じた適切な表現を選ぶことも大切です。
「お釣りの方、お返しします」→「お釣りをお返しします」
お客様に支払い後のお釣りを渡す際に使う表現
レジ対応の際に「お釣りの方、お返しします」と言ってしまいがちですが「〜の方」という表現はバイト敬語の典型であり不自然な敬語です。
お釣りを渡す際は「お釣りをお返しします」とシンプルに伝えましょう◎
「○○の方」は比較対象がある場合に使う言葉ですが、お釣りには比較対象がないためこの表現は不適切です。
また、接客の場では「○○円のお釣りでございます」「お釣りをお渡しいたします」などの言い回しも丁寧な表現としておすすめです。
バイト先でよく使う敬語一覧
ここでは、バイト先でよく使う敬語を表形式でまとめました。
適切な表現を身につけ、より自然で丁寧な接客を心がけましょう◎
カジュアルな表現 | 敬語 | 補足 |
おつかれ | お疲れ様です | 出勤や退勤の際の一般的なあいさつ |
ありがとう | ありがとうございます | 丁寧なお礼 |
ごめんなさい | 申し訳ありません 失礼いたしました |
謝罪表現 |
いらっしゃい | いらっしゃいませ | 接客の際に使うお客様への最初の言葉 |
さようなら | 失礼します | 電話対応後や退勤の際の別れの挨拶 |
やってください | お願いいたします ご対応をお願いします |
依頼表現 |
ちょっといいですか | 少々よろしいでしょうか? | 目上の人に対する声かけ |
○○と言ってました | ○○と申しておりました | 自分以外の人の言葉を伝えるとき(謙譲語) |
わかりました | 承知いたしました かしこまりました |
指示を受けた際の丁寧な表現 |
○○でいいですか? | ○○でよろしいでしょうか? |
確認する際の丁寧な表現 |
敬語を使いこなしてバイトの評価もアップしよう!
敬語は『難しい』『面倒だ』と感じることもあるかもしれません。
しかし、正しい言葉遣いを身につけられれば、周囲に良い印象を与えられますし、仕事の評価にもつながります。
バイト敬語が広まりやすい環境では、知らずに誤った言葉遣いをしてしまう場合もありますが、正しい敬語に修正することで、自信を持ってコミュニケーションを取れるようになりますよ◎
今のうちに正しい敬語を習得し、どんな場面でも丁寧な対応ができるようにしましょう♪