【扶養控除】学生バイトはいくらまで稼げる?仕組み・年収ライン・注意点をやさしく解説!

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【扶養控除】学生バイトはいくらまで稼げる?仕組み・年収ライン・注意点をやさしく解説!
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    アルバイトを始めると「収入が増えた場合の税金はどうなる?」「扶養のままで働くにはどうすればいい?」といった点が気になる人も多いのではないでしょうか?

    一定の収入を超えると親の扶養から外れ、税金の負担が増えて損をしてしまうこともあるため、注意が必要です。

    この記事では、学生や若者に向けて、アルバイトの収入に大きくかかわる『扶養控除』についてわかりやすく解説します!
    収入を調整するポイントや気をつけるべき点をまとめているため、これからバイトを始める人や、扶養内で働きたい人はぜひチェックしてください♪

    「扶養控除」をわかりやすく解説!

    アルバイトをしていると「扶養から外れないかな?」と心配になることがありますよね。

    扶養控除とは、親などが家族を養っている場合に、納める税金が少なくなる仕組みのことです。
    収入が一定額を超えると『控除』が受けられなくなるため『どこまで稼いでも大丈夫なのか』を知っておくと安心です◎

    ここでは、扶養控除の仕組みや控除額、誰が対象になるのかなどについてわかりやすく解説します♪

    「扶養控除」=家族の税金を軽くしてくれる制度

    そもそも『扶養』とは、自分の稼ぎだけでは生活できない人が、家族や親族に支援されることを意味します。
    そして『扶養控除』は、その扶養している人がいることで家族や親族の税負担が軽くなる制度です。
    つまり『家族の税金を少なくする仕組み』と考えるとわかりやすいですね◎

    例えば、学生がアルバイトで得る収入が年間103万円以内なら、親の扶養控除の対象になります。
    しかし、これを超えると扶養から外れて親の税金が増えてしまうため注意してください。

    次の項目では、具体的に「どれくらい税金が少なくなるのか?」をご紹介します♪

    「扶養控除額」でいくらオトクになる?

    『控除』とは、税金を計算するときに、一部の金額を差し引いて負担を軽くすることを指します。

    控除されると、その分課税対象の金額が少なくなるため、結果的に税金が減るという仕組みです◎
    ちなみに、この扶養控除額は、扶養される人の年齢によって変わります。

    対象の年齢 控除される金額
    16歳以上19歳未満 38万円
    19歳以上23歳未満(大学生など) 63万円
    70歳以上の親と同居 58万円
    70歳以上の親と別居 48万円


    例えば、大学生の子どもがいると、親の課税対象の収入から63万円が引かれて税金が計算され、結果的に支払う税金が少なくなります!
    では、具体的な税負担の違いを見てみましょう。

    年間所得額(親) 扶養控除あり
    (扶養親族1人)
    扶養控除なし
    300万円 課税所得
    約262万円 
    ➡ 所得税
    約13.1万円
    課税所得
    約300万円 
    ➡ 所得税
    約15万円
    400万円 課税所得
    約362万円 
    ➡ 所得税
    約18.1万円
    課税所得
    約400万円 
    ➡ 所得税
    約20万円
    500万円 課税所得
    約462万円 
    ➡ 所得税
    約23.1万円
    課税所得
    約500万円 
    ➡ 所得税
    約25万円


    上記の表はあくまでも概算ですが、こうして見ると扶養控除があるかどうかで親の負担する税金が大きく変わることが分かりますね♪

    扶養家族になれる人の条件は?

    扶養控除を受けられる『扶養家族』は、以下の条件を満たす人が対象になります。

    親族(6親等内の血族・3親等内の姻族)であること

    16歳以上であること(扶養控除の適用には年齢制限あり)

    親と同じ生計(生活費の援助など)があること

    ・年間の合計所得が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下


    つまり、アルバイトで収入が103万円を超えると、扶養家族から外れて親の税負担が増えることになるため注意が必要です。

    学生なら知っておきたい「勤労学生控除」って?

    学生がバイトで一定の収入を超えた場合に税金の負担を減らせる『勤労学生控除』をご存じでしょうか?
    「アルバイト収入が増えて扶養から外れるとどうなるの?」と心配している方のために、勤労学生控除の仕組みや条件をわかりやすく解説します!

    「勤労学生控除」ってどんな制度?

    勤労学生控除は、学校に通いながらアルバイトをしている学生の税負担を減らしてくれる制度です。

    この制度を使えば27万円の控除が受けられるため、親の扶養から外れてしまっても、学生本人の所得税が減ることで手元に残るお金を増やせます!
    しかし、勤労学生控除が適用されるためには、以下の条件を満たす必要があります。

    ・アルバイトなどの収入(給与所得)があること

    ・年間の合計所得が75万円以下(=年収130万円以下)であること

    ・学校に通っていること(高校・大学・専門学校など)


    つまり、年収130万円(=103万円+27万円)以内なら、勤労学生控除を使うことで所得税がかからなくなるということです◎

    参考:No.1175 勤労学生控除|国税庁(参考2025.6.24)

    勤労学生と認められる条件は?

    勤労学生控除を受けるには『勤労学生』と認められる条件を満たしている必要があります。
    アルバイト収入があるだけでは適用されないため、以下のポイントをあらかじめチェックしておきましょう!

    ◆特定の学校に在学していること

    ・高校・大学・大学院・専門学校・職業訓練校など
    ・学校教育法に基づく学校であること(※認定がない専門学校は対象外になる場合も)

    ◆勤労による収入があること

    ・アルバイト収入や給与所得のみが対象
    ・株の配当やギャンブルの賞金など、勤労以外の収入は対象外

    ◆年間所得の基準を満たしていること

    ・所得が75万円以下(年収130万円以下)
    ・勤労以外の所得(家賃収入など)が10万円以下


    「アルバイトで稼ぎすぎてしまった!」と思ったときは、自分が条件を満たしているかを確認し、年末調整や確定申告の際に申請すると良いでしょう!

    バイトのしすぎに注意!年収ラインごとの壁をチェック

    バイトを頑張りたいけれど『年収の壁』が気になる……
    そんな人も多いのではないでしょうか?

    アルバイト収入があると、一定額を超えたときに税金や扶養のルールが変わるため、事前にチェックしておくことが大切です。

    特に注意したいのが『103万円の壁』と『130万円の壁』です。
    ここでは、それぞれの壁について詳しくご紹介します!

    わかりやすく解説|「103万の壁」

    学生のバイト収入が年間103万円を超えると、親の扶養から外れてしまい税金の負担が増加します。
    親は扶養控除を受けることで税金を軽減できますが、103万円を超えると扶養控除(38万円 or 63万円)が適用されなくなるため、親の税負担が増えてしまうのです。

    では、なぜ103万円が基準になるのでしょうか?
    その理由は、扶養控除の適用条件にあります。
    親が扶養控除を受けるためには、扶養される人の年間所得が48万円以下である必要があります。

    アルバイトの場合、収入から給与所得控除(55万円)が差し引かれるため、給与収入が103万円以下なら、所得は『103万円 - 55万円』で48万円以下になり、扶養の対象になります。
    103万円の壁を超えるとどうなるのか、以下の表にまとめてみました!

    学生の年間収入 所得税 親の税負担
    0~
    103万円
    かからない 税負担軽減
    103万円超
    ~130万円
    かかる
    (勤労学生控除を
    使えば非課税)
    所得税の
    負担増加
    130万円超 かかる
    (勤労学生控除を
    使っても超過分は課税)
    段階的に
    税負担が増える
    (2025年改正あり)


    なお、2025年以降は扶養控除の適用範囲が拡大され、103万円を超えても150万円以内なら扶養控除を受けられるようになります
    ただし、150万円を超えると控除額が減るため、収入の管理は引き続き行う必要があります◎

    わかりやすく解説|「130万の壁」

    アルバイトを頑張っていると、気づかないうちに『130万円の壁』を超えてしまうことがあるかもしれません。
    しかし、この壁を超えると、税金だけでなく社会保険の負担が増えるため、手取りが少なくなってしまいます

    では、具体的に何が変わるのでしょうか?
    学生のアルバイト収入が年間130万円を超えると、親の社会保険の扶養から外れます
    これまで親の健康保険を使えていましたが、130万円を超えると自分で国民健康保険や国民年金に加入し、保険料を支払う必要が出てくるのです。

    保険料は住んでいる地域によって変わるため、どのくらい支払うのかは事前に確認しておくと良いでしょう◎
    また、一時的に130万円を超えた場合でも条件次第では、2年間は扶養に入ったままでいられる制度が2023年から導入されています。(※)
    収入の増減がある場合は、この制度を活用すると負担を抑えられるかもしれません。

    (※)参考:厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」(参考2025.6.24)

    学生が扶養控除から外れると親に影響する?

    知らないうちに扶養の対象から外れてしまうと、親にも影響が出ることを忘れてはいけません。
    ここでは、扶養を外れることで親にどんな影響があるのかをご紹介します。

    所得税や住民税の特定扶養控除が受けられなくなる

    学生のバイト収入が年間103万円を超えると、親の税金が増えることになります。
    親は通常、扶養控除(所得税38万円・住民税33万円) を受けて税金を軽減できますが、子どもの収入が103万円を超えると控除がなくなるため、親の税負担が増えてしまうのです。

    例えば、103万円以内なら親の税金はそのままですが、超えると所得税や住民税の負担が増え、年間で数万円単位の手取りが減ることも考えられます。

    ただし、2025年から大学生年代(19〜23歳)の扶養控除の対象収入が103万円から150万円に拡大される影響で、これまでより働ける収入の幅が広がることになりました。
    とはいえ、150万円を超えると控除がなくなるため、働き方の調整は必要です。

    扶養手当の減額や支給を停止される

    会社員の親が勤務先から『扶養手当』や『家族手当』をもらっている場合、扶養から外れると手当がなくなる可能性があります。

    例えば、子どもの収入が103万円を超えると、会社の規定によって手当がもらえなくなることがあり、年間で数万円の収入が減ってしまうケースも考えられます。

    扶養手当の基準は会社ごとに違うため、親がどの条件で手当を受けられるのかを事前に確認しておくと安心です♪
    収入が増えても、結果的に世帯の手取りが減ってしまう場合があるため、バイトをするときは年間の収入を意識しながら働くと良いでしょう。

    【対策】扶養内で賢く稼ぐためにすべきことは?

    103万円を超えてしまうと親の税負担が増えるため、事前に対策をしておくことが大切です。
    特に年末といった繁忙期はシフトを多く入れすぎてうっかり収入が増えてしまう場合もあるため、計画的な管理が必要になります◎
    ここからは、今すぐに実践できる扶養内で賢く稼ぐ方法をご紹介します♪

    バイト先と相談をしながらシフト調整を行う

    扶養の範囲内で働きたいなら、まずはバイト先に相談しておくことが大切です◎
    「扶養内で働きたいので103万円以内に抑えたい」と伝えたうえで、シフトの調整をしてもらえないか事前に確認しておきましょう。

    目安となる月収は8万円以下ですが、長期休みや年末の忙しい時期は収入が増えやすいため、普段の月は7万円前後に抑えておくと安心して働けるでしょう♪

    2025年度からは、扶養控除の対象となる年収が103万円から150万円に拡大予定ですが、150万円を超えると控除はなくなってしまうため、収入の管理は引き続き必要です!

    アプリなどで収入管理を行う

    扶養内で働くためには、毎月の収入を正確に把握しておくことが大切です。
    給与計算アプリを使うと「今どのくらい稼いでいるのか」を簡単にチェックできて、年末に「うっかり超えてしまった……」という事態を防げます◎
    給与額を入力するだけで年間収入が計算されるため、働きすぎないように調整できますよ。

    また、掛け持ちバイトをしている場合でも、複数のバイト先の収入を一括で管理でき、扶養内に収めるための目安がわかりやすくなります。
    自身で収入の管理を行っておけば、安心してアルバイトを続けられますよ♪

    よくある質問Q&A|学生バイトの扶養控除に関する疑問に回答

    最後に、学生バイトの扶養控除に関するよくある質問にお答えします♪

    手取りが103万円ならセーフ?

    「手取りが103万円以下なら扶養内?」と思いがちですが、これは手取り額でなく、総収入が対象になります。

    『103万円の壁』を計算するときは、税金や社会保険料が引かれる前の金額(額面)で判断されるため、注意が必要です!

    例えば、毎月10万円の給与を受け取り、税金や社会保険料で2万円引かれて手取りが8万円だった場合でも、総額は年間120万円になり扶養の範囲から外れてしまいます。

    また、掛け持ちバイトをしている場合は、すべてのバイト先の収入を合算して計算されるため、どのくらい稼いでいるかをこまめに確認することが大切です。

    交通費やまかない代も含まれますか?

    基本的に、通勤のために支払われる交通費やまかない代(食事補助)は非課税のため、103万円の壁の収入には含まれません!

    ただし、交通費が非課税になる限度額は『月15万円まで』と決まっています。それを超えた分は収入に加算されることになります。
    例えば、交通費が月16万円だった場合、超過した1万円分は課税対象となるため、収入に含めて計算されます。

    また、ボーナスが年収の計算に含まれることにも注意してくださいね。
    扶養内で働きたい場合は、ボーナスの支給額も考えながら収入を調整する必要があります◎

    給料手渡しならバレない?

    「銀行振込じゃなくて手渡しで給料をもらっているから、103万円を超えてもバレないのでは?」と思うかもしれませんが、手渡しの場合でもバイト先は収入を記録しています。

    企業は、従業員に支払った給料を『給与支払報告書』として自治体に提出していて、税務署とも情報を共有しているため、手渡しだから大丈夫というわけではないのです。

    また、個人の収入はマイナンバーで管理されているため、掛け持ちバイトをしていても税務署は把握しています。
    103万円を超えた場合は後から税金の申告が必要になるため、しっかりと収入を管理して働くことが大切です◎

    まとめ|扶養控除を理解して学生バイトを楽しみながら賢く稼ごう!

    アルバイトを頑張れば、おこづかいが増えたり欲しいものを買えたりと楽しいことがたくさんあります。
    しかし、収入が増えすぎると親の扶養から外れてしまい、税金の負担が大きくなることもあるため注意が必要です!

    今いくら稼いでいるのか」を把握しながら働くことで、税金の負担を抑えながら賢く稼ぐことができますよ♪
    バイトをするときは親と相談しながら収入を管理して、無理のない範囲で働くことが大切です◎
    扶養の仕組みをうまく活用して、楽しくアルバイトを続けましょう♪

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    バイトな女子編集部
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